米澤穂信作「黒牢城」を読んだ感想~京アニ”氷菓”の原作者が籠城戦を巧妙に昇華した新感覚密室ミステリー

小説

こんにちわ、歴史と漫画好き。
いのまんです。

今回は、直木賞を受賞された米澤穂信先生作「黒牢城」の感想・重大なネタバレ有りで書いていきます。

アニメ制作のトップメーカー・京都アニメーションで制作された”氷菓”の原作者の作品です。

”氷菓”はとても評判が高くて10年近く前の作品にも関わらず未だに続編製作の声が上がっている作品なんですよね!

直木賞の名に偽りなく、一気に読めてしまいました!

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「黒牢城」~作品詳細

作者:米澤穂信

出版社:KADOKAWA

ジャンル:歴史ミステリー

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「黒牢城」~あらすじ

本能寺の変より四年前、天正六年の冬。

織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の軍師・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。

事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。デビュー20周年の到達点。

『満願』『王とサーカス』の著者が挑む戦国×ミステリの新王道。

「黒牢城」~感想

あなたはどこを楽しむ?

戦国時代にかの有名な織田信長の家臣・荒木村重が謀反を起こし、村重を説得するために軍師・黒田官兵衛が有岡城へと施設として赴きますが、説得虚しく捕らわれの身となったことが物語の始まりです。

史実の歴史とミステリーを掛け合わせた新境地ですね。

荒木村重に関してはもっと詳しい人はたくさんいると思いますし、大河ドラマで知っている方もいるとは思いわれるので自分が語りません(語れるほど知らない笑)。
籠城戦を密室と見立ててミステリーにするってありそうでなかったような気がしますよね。

特に時代小説ではミステリーを絡める事ありそうですが、史実に沿った歴史小説でミステリーに変換するなんて斬新です。

物語としては城主・荒木村重が城内で起こった難題に対して、牢に閉じ込められた官兵衛がその謎を解いていく方式ですね。

人それぞれ捉え方はあると思いますが、自分はミステリー小説をほぼ読まないので謎解きの部分に関しては退屈してしまいました。

5章からなる構成なのですが、1章に関しては始まりとあって城内で起こった人質の殺害者を探す下りは面白かったです。

ただこの狭い城内の中で残りの4章に関して、謎が起こりその謎を解いていくという下りはミステリーファンではない自分にとっては退屈だと感じてしまいました。。

各1章の内容が薄いというわけでは無いので、この点は本当に好みの問題だと思いますね。

ミステリー部分は歴史部分は好きな所。

歴史部分、面白かった!

歴史小説としては約1年以上の籠城戦を戦っていた荒木武重という武将の心情を描いているのは面白く読めましたね!

荒木村重が謀反した結果を知らない方が楽しめましたね!
村重を知らずに読める方は羨ましいです!

ただ、荒木村重の謀反。
あの”信長”に対しての謀反ですから、ちょっと頭の悪い武将なのかなって思いますよね。

けど村重はむしろ有能武将で、信長の下でしっかり武功を上げているからこそ伊丹城・摂津国任されています。

むしろ、織田信長への謀反自体が珍しいわけではないですからね。

宇喜多秀家・荒木村重・明智光秀と、他にも多くの武将が反旗を翻しています。

事実として織田信長に反旗を翻している村重ですが、その心の内は約500年経った今ではわかりようもありませんよね。

もちろん、いろいろな研究がされてきてある程度の予測はされていますが、あくまでも予測の範疇です。

だからこそ、想像を張り巡らせて1年以上の籠城戦を戦い抜いた村重やその家臣たちの胸中の変化を読み解いている点が歴史小説として面白い点ですね!

籠城戦末期になってくると軍議は毎度同じことの繰り返し。
諸将の覇気は乏しく、村重への信も失われていきます。

物語当初は、村重の言に間違いなど無い!という者が大半だったのにこの頃になると疑心暗鬼に陥っているのがひしひしと伝わってきます。

そんな村重に対して官兵衛が放った言葉

「天下の戦を存分に語り得る者は、まず絶無」

上に立つものは、みんなそれぞれがこの想いに達してしまうんですね。

信長然り、秀吉然り、天下人は常に孤独に苛まれて要る事が伝わってきました。

※重大ネタバレ

ここからは重大なネタバレ含みます。

1~4章までの謎かけ部分には一連の関わりがありました。

1章、人質殺害
2章、首実検の首すげ替え
4章、瓦林能登入道の天罰

これら一連の犯人は、村重の嫁・千代保の画策でした。

犯人と言っても村重を陥れるためではなく、民草に対する救世の為。
千代保は村重に嫁ぐ前に”長島一向一揆”で籠城戦を行い数多の死体の中で生きた事から、死に関する事柄に特殊な価値観を持っていました。

ただ千代保の死の価値観は現代人の自分だから感じる物なのかもしれません。
というより、自分は完全に無宗教なので宗教の分けられる死生観が理解できないんですよね。

そして官兵衛。

村重の謎を解いていた官兵衛ですが本当の狙いは村重の信を取り、有岡城を抜け出すように画策する事。

荒木村重が、単独で有岡城を脱出したのは黒田官兵衛の策略だとする発想ですね。

前々あり得そうです。

そして官兵衛が戻ってこない事によって、信長に人質に取られていた官兵衛の息子・松壽丸は処刑されます。

この事に対しての官兵衛の恨みは強さは恐ろしかったです。

土牢の中で服はぼろ切れとなり、髪は伸び放題、ろくに足も伸ばせず折り曲がってしまった足。

そんな姿だからこそ村重に吐いた恨み節は恐ろしいものがありましたね。

最後に

史実の歴史とミステリー、相性が良かったのかと言われればよくわかりませんでしたがさすがは直木賞作品!
面白かったです!

ただミステリー作家さんに失礼かもしれないですが、この作品に関してはミステリー部分いらなかったかなって思ってしまいます。

村重・家臣の心理描写、官兵衛の不気味さ、これだけでも面白かったので次回も大いに期待しています!

最後までお付き合いいただきありがとうございました。
したっけね!

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