漫画版「不死身の特攻兵 生キトシ生ケル者タチヘ」あらすじ・感想~9回出撃して9回戻ってきた特攻兵、なぜ、絶対命令の呪縛から免れる事ができたのか?

漫画 

こんにちは、いのまんです。

今回は、週刊ヤングマガジンで連載中の「不死身の特攻兵 生キトシ生ケル者タチヘ」のご紹介をしたいと思います。

第2次世界大戦末期に登場した、陸軍が創設した特別攻撃隊・通称万朶隊で9回の出撃から生還した特攻兵・佐々木友次伍長を主人公に据えたお話です。

佐々木友次伍長は軍司令部の「体当たり攻撃をせよ」との命令を無視して生還します。
軍司令部は怒り、死ぬまで出撃させようと9回も繰り返して生還を果たしています。

不死身というには誇張があるとは思いますが、当時の日本陸軍の事を考えると何故軍司令部の命令に対して反抗し続けたのかが気になって読み始めてみました。

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「不死身の特攻兵 生キトシ生ケル者タチヘ」~作品詳細

作者:原作・鴻上尚史
   作画・東直樹

出版社:講談社

ジャンル:歴史

発行巻数:既刊8巻(2020年11月現在)

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あらすじ

石狩郡当別村出身の佐々木友次は幼いころから飛行機が好きで、父親の勧めによってパイロット養成学校へ入学した。

戦時中のために厳しい訓練を1年間受けた後に陸軍航空隊へ配属。

卒業後は養成学校の助教を務めるほど優秀なパイロットで何よりも飛行機で飛ぶことが大好きだった。

しかし、配属先は陸軍初の特別攻撃隊「万朶隊」へと配属される。

「必ず死んでこい」という上官の命令に背き、9回の出撃から生還した特攻兵のお話です。

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不死身の特攻兵 1巻|話題の新書、全身全霊のコミカライズ! 太平洋戦争末期に実施された”特別攻撃隊”により、多くの若者が亡くなっていった。だが、「必ず死んでこい」という上官の命令に背き、9回の出撃から生還した特攻兵がいた。飛行機がただ好きだった男が、なぜ、絶対命令から免れ、命の尊厳を守りぬけたのか。
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はじめに~世界大戦時の戦争作品を読むにあたって

このブログではいつも自分が面白かったと思うマンガを取り上げて紹介させてもらってますが、今回の記事に関しては面白かったから書くよといった感じではありません。
まあ面白可笑しいといった漫画の内容ではないですし。

このブログを書くにあたり、他の記事のリサーチさせていただきましたが「戦争は悲惨」「命をもっと大事にしなくてはならない」というような言葉が見受けられましたが、そんな事当たり前ですよね?

その事は学校の歴史の授業でも十分に教わる事が出来ます。

「命の尊厳」や「戦争の悲惨さ」を伝えたいというだけの薄い内容ではないと思います。

20世紀の戦争はそれ以前と以降で大きく変化しています。

国力を総動員して戦う形態の戦争、総力戦へと変貌しています。

近代的兵器が登場するまでの戦争においては、結果を大きく左右するものは、高度に訓練された兵士の能力という「質」と、軍隊の規模や兵の数という「量」を基にした軍事力であった。そこでは軍隊が傭兵によって構成され、コントロールが難しい場合を除き、産業や民衆は戦争から距離を置くことができた。しかし、産業革命後の大量生産の時代と技術革新は、戦争の質を大きく様変わりさせた。
※Wikipedia参照

つまり、今まで専門の兵隊だけで行っていた戦争が、民間人も被害が及ぶようになったのが世界大戦においての戦争の変化です。抵抗の無い一般人までも死に至らしめる戦争になっています。

なので「命の尊厳」や「戦争の悲惨さ」は当たり前に持ちつつ、本作を読まれた方がよりこの漫画の内容を理解できるのではないかと思います。

異質な佐々木友次伍長

今までの特攻隊のイメージは「お国の為に喜んで死んできます!」と言い、愛国精神を前面に押し出し出撃して敵艦隊目前で撃ち落とされるのが自分のイメージですが、このイメージはあくまでも軍人としての矜持を見せる表向きの顔でした。

最近は特攻隊の盲目的な愛国軍人といったイメージは取り払われつつあり、一個人としての側面を取り上げて特攻への批判・死への恐怖といった(当時は臆病者と罵られる)感情を取り上げる作品も見受けられるようになってきています。

軍隊が軍隊たらしめる絶対の規律が「絶対服従」です。

この本を取る前に感じた違和感は、佐々木伍長はどのようにして絶対服従の呪縛から逃れて9度の生還を果たしたのかが気になりました。

岩本益臣大尉という人身御供

特攻の効果ですが、初期に行われた特攻では艦船に損傷を与える効果があり、日本軍は特攻機一機で戦艦や空母を一隻撃沈出来ると思い込みました。

しかしアメリカ軍はすぐに防衛策を講じ、レーダーと迎撃機、対空砲火で特攻機を迎え撃ち、殆どが撃墜されたのだそうです。奇跡的に防空攻撃をかい潜って体当たりできたとしても戦艦や空母の甲板は固い鋼鉄で覆われており、「コンクリートに生卵をぶつける様なもの」だったという話です。

現に戦後に特攻隊の成功率(敵戦艦に到達した確率)を見ても16.5%しかないですし、そこから撃沈に至るのはもっと低かったとの事です。

歴戦の軍人であり、”爆撃の鬼”と呼ばれた岩本益臣大尉にとっては優秀パイロットを特攻でみすみす死なせるよりは普通に爆弾を当てて何度も出撃させる方が効果的であることを作戦本部に提言します。

しかし、先駆けて行われた海軍・神風特攻隊での効果があった事と成果に焦った作戦本部による強硬により、そして作戦遂行率を上げるために能力の高い岩本大尉を始めとした隊員が選ばれることとなりました。

作戦本部からすれば、”爆撃の鬼”の異名を持つほど操縦技術が高い上に上層批判をした事をした有名人を特攻させることによって厄介払いと特攻の成功率を上げられる妙案だということです。

しかし、この岩本大尉は現場指揮官の無駄な呼び出しにあい敵機と遭遇の上戦死しているのですから軍上層部の腐り方は判断力が無い状況としか考えられないほどですね。

佐々木友次伍長が特攻命令を受けて生還できた理由

佐々木伍長が静観してきた理由として、万朶隊・隊長である岩本益臣大尉の「死ぬな」「爆撃して生還せよ」とという命令があります。

そして、元は民間のパイロット養成所で訓練を積んでいたため民間人だったからです。

なので軍上層部が言う命令と中間管理の岩本大尉の言う命令では、直接命令が下される岩本大尉の言葉を信念に持つようになったのでしょうね。

ちなみに佐々木友次伍長の9回の出撃は以下通りの実績です

1.爆弾投下

2.僚機と遭遇できず戻る

3.出撃直前爆撃に会う

4.直掩機が引き返すので戻る

5.目標前に敵編隊と遭遇して戻る

6.爆撃、大型船沈める

7.離陸失敗

8.200隻近い艦船を見て無駄と感じて引き返す

9.機体不良で戻る

まだ、漫画では描かれていない部分もありますが実際に敵艦隊に爆弾を持って突撃したのは9回の内2回のみです。

第4航空軍は体当たり攻撃での戦果を挙げたいがために佐々木伍長が生きている事が都合が悪いために、無茶な出撃を何度も繰り返させます。

このように、運にも左右された結果の佐々木伍長の不死身説となっています。

ただ当時の現場必死の特攻兵が死なないことに対しては、「不死身」の兵がいると呼ばれても間違いないと思いますが、現代としてはこのタイトルは誇張じゃないかなって思いますね。

むしろ、断る事が出来ない無理難題をいう軍上層部とここまで死地へと向かわされて壊れなかった精神面を押し出したタイトルが良かったんじゃないかなって思和される内容でした。

最後に

戦争物の感想は難しいです。

漫画というエンターテイメントであるものが歴史を知る為の一つの教材にも成りえてしまいます。

色んなの人に読んでほしいと思う反面、間違った認識や軽はずみな気持ちで読んでほしくないという気持ちも出てしまいます。
ましてや、安易に「命を大事に」なんて言う事は行ってほしくないと思ってます。

何度でも言いますが、命を大事にするのは当たり前の事です。赤紙一枚で捨てていい命はありません。

したっけ、またよろしくお願いします!

不死身の特攻兵 1巻

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