「青に、ふれる。」3巻・あらすじ感想~人は簡単に人を傷つけていく

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こんにちわ、歴史と漫画好き、いのまんです。

今回は、次にくるマンガ大賞2020ノミネート作品「青に、ふれる。」の3巻の感想を書いていきます。

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「青に、ふれる。」~作品詳細

作者:鈴木望

出版社:双葉社

ジャンル:社会・青春

発行巻数:既刊3巻(2020年12月現在)

あらすじ

若葉東高校1年生の青山瑠璃子には、右目の付近に大きな痣があります。

「太田母斑」と呼ばれる生まれつきある痣だが、瑠璃子は周囲に痣の事で無用な気遣いをさせないように常に明るく笑顔で振るまっています。

同じく、若葉東高校に新卒で務める神田夜光は見た目はイケメンで女子生徒から人気の高い先生ですが、彼には人の顔(自分の顔も)識別ができない相貌失認(そうぼうしつにん)と呼ばれる障害を持っています。

そんな神田先生が人の顔を識別するには声や服装・アクセサリー等で区別しているが、瑠璃子の事だけは認識できます。

二人がこれまで心の傷に対して乗り越えてきた物と今後乗り越えなくてはならない壁、また二人の今後の関係はどうなっていくのか?

文化祭でトラウマを思い出し舞台で倒れてしまった神田先生、迷惑をかけまいと平然を装う神田の元に瑠璃子が現れます。

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「青に、ふれる。」~感想

大橋君の告白

中学時代、気持ちの上では両想いとなっていた瑠璃子と大橋君だが、大橋君が言った何気ない一言で瑠璃子は登校拒否となりました。

高校に入り、その件を瑠璃子に謝罪しました。

そして大橋君は、瑠璃子の高校の文化祭に赴き、他の生徒たちがいる前で瑠璃子に告白をします。

タイミング的に成功するタイミングではないですよね、むしろ大橋君側は言って満足するけど瑠璃子的にただ困るみたいな流れしかないです。

瑠璃子応援側なのでひいき目もあるけど、改めて瑠璃子が大橋君の通う高校に断りを入れに行った時にも近くを自転車が通ったからと肩を抱きよせてます。

そして、瑠璃子が好きな人がいるからと言って断りますが、まだ付き合ってないなら好きなままでいいよね?、ってか告っちゃえよ!、ってそれお前のタイミングだから!

こうゆうのって押しが強い人が勝手に話を進めていきますよね。

結局、瑠璃子は断り切れずにいましたが、最終的には神田先生と話しているところを大橋君は見ることになり、自分が困らせていることに気が付きます。

孤独にさせない

孤独の定義って、他の人々との接触・関係・連絡がない状態は直接的な定義です。

今回瑠璃子が神田先生に行った孤独は、思うことを語ったり、心を通い合わせたりする人が一人もなく寂しいことです。

神田先生の「気にしないでください」という言葉は、今まで瑠璃子自身が自分に言い聞かせていた言葉で周囲に気遣わせないようにして自分の本当の気持ちを隠していた(=孤独)以前の自分と重なってしまったという事ですね。

ただし、このように孤独を埋めてあげたいという感情って誰にでも向けられるわけではないですよね。

いくら気遣いができる瑠璃子でもボランティアではないです。
母性が働いたような感じで瑠璃子は、神田先生を好きだと気が付いたところは、少女と女性の狭間にある思春期!という感じがしてとてもエモーショナルで可愛かった!

彼らが見ている世界

3巻で、瑠璃子がアルバイト中に痣についての誹謗中傷を受けます。
そして、神田先生は職員の方たちにカミングアウトをしています。
さらに、音楽教師の白河先生も容姿に関する溜まったストレスを吐き出します。

神田先生が、教職員たちとの飲み会の席で「自分は人の顔が認識できない人です」とカミングアウトをします。
しかし、他の職員たちは若い子たちは全員同じ顔に見えるとかアイドルグループの顔の区別がつかないといった一般的感覚で話を進めていきます。

神田先生的には、そうゆう事ではないんですけどね…

ただ、その話を真剣に聞いていたのが音楽教師の白河先生でした。
彼女は長身で美人な顔立ちのため、美人ではなくなったら自分の価値観が無くなると考えています。
年を取れば、開き直る事も出来るんですが、まだ20歳半ばの彼女にはそんな強さは無くて周囲に気を使って、美人だという事を鼻にかけない対応をしていく事に疲れを感じていました。

つまり、人の顔が認識できない神田先生にとって自分はどんな価値はあるのだろうかって思ったわけですね。
神田先生が見ている世界の自分(=白河先生)は、容姿ではなく等身大の自分を見てくれることで、神田先生に惹かれていく事になります。

しかし、3巻の最大の事件は終盤の瑠璃子への誹謗中傷でしょう!

クリスマスにお友達のけいちゃんの実家・喫茶店でアルバイトをした瑠璃子。

無難に接客をして、神田先生も様子を見に来てくれて終始楽しかったはずなのですが、会計時に年配の常連客より瑠璃子は顔の痣の事を指摘されてしまいます。

いつも通り明るく返答する瑠璃子ですが、その事を聞いていた若いサラリーマン二人が瑠璃子に突っかかってきます。

「DV彼氏にやられたわけじゃないんだ」
「手術して治しなよ」
「お金とかの問題じゃないし、オンナなんだから体売ればどうにかなるでしょ」

接客のバイトをするという時点で、ある程度こうなる事は予想できていたが想像以上にひどい言われようでかなりイラっとしました。

そんなイラっとした留飲を下ろしてくれたのが、神田先生です。

相手の方に、

「お金は僕が払うのでお引き取り下さい。」
「誤ってもらっても、逆に青山さんを傷つけるだけ」

と言って、追い出します。

わかってはいるつもりだったけど、いざ目の前で見てみると大きな衝撃を受けて神田先生。
つまり、瑠璃子が日々生きていて知らない人たちから受ける誹謗を目の当たりにしたという事ですね。

それでも瑠璃子は明るく返すのだから、そんな彼女の芯に強さを感じられました。

最後に

3巻も様々な登場人物の内面が見られましたね。

特に、神田先生・瑠璃子・白河先生の三角関係は今後どのような展開になっていくのか。

恋愛という形のみでなく、社会的不安や弱点を補いあう相互扶助の関係性がどのように発展していくのかが気になります!

最後まで読んでいただきありがとうございました、したっけね!

青に、ふれる。 3
青に、ふれる。 3

青に、ふれる。 3

[著]鈴木望

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