「九龍ジェネリックロマンス」5巻感想・ネタバレ~求めれば求めるほどに奪われている?

九龍ジェネリックロマンス

こんにちわ、歴史と漫画好き。
いのまんです。

今回は、眉月じゅん先生の「九龍ジェネリックロマンス」5巻を読んだ感想です。

今回の表紙も良いですね。
鯨井玲子に見つめられていると、現実から離脱してしまいそうになりますねぇ。

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「九龍ジェネリックロマンス」~作品詳細

作者:眉月じゅん

出版社:集英社

ジャンル:恋愛・SF

発行巻数:既刊5巻(2021年6月現在)

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九龍城砦は小説の中身?!

昔の工藤と鯨井Bが金魚のいる喫茶店でスイカとタバコと会話を楽しんでいます。
しかし、それは工藤さんの夢で叫び声をあげています。

一方現在の鯨井は部屋にある小説を読むと回想で、影絵ですが工藤が鯨井の首を絞める描写になりました。

工藤は鯨井Bを手にかけたのか?という疑問がわきます。

以前から、現在いる鯨井さんと以前に存在した鯨井Bを比較するような様子が伺えていましたが、その内容も徐々にロマンティックなものからハードなものへと変わっていってます。

更に鯨井がこの小説の下巻を求めに本屋に行きますが、小説の下巻は文字化けしていて読めなくなっていました。

この事から、実は現在鯨井たちが生活している九龍城砦は本の中の出来事なのではないかと予想しています。

下巻に関しては物語が進行していくうちに徐々に文字化けしている部分が読めるようになっていくのではないだろうか?

ただ、この小説のラストを工藤は知っていました。
これは工藤がオリジナルの九龍城砦での経験があるからだと考えられます。

つまり以前の九龍城砦でも今の九龍城砦も、同じ月日が流れているVRゲームの中身ようなもので基本的なストーリーは同じように流れていると思われます。

体と心の在り方がポイントになりそう

蛇沼さんは、2世社長で親から与えられた人間とTV出演の際にポッと出タレントに言われてましたが、

”与えられている事が必ずしも恵まれているとは限らない”

工藤は

”求めれば求めるほどに奪われていく”

また鯨井の友人楊明は

”誰かに用意された人生は、元の自分の人生を奪われている事になる”

と言っています。

楊明は有名女優・楊麗の娘で、昔は母の言う通りにファッションも仕事もして生きてきたのですが、母の言う事が柵となり自分を奪われていく感覚に陥ります。

過去を切り捨てたはずなのに、切り捨てられない想いを抱いています。
本当の自分になりたいはずなのに、自分が好きなものって実は母に刷り込まれた偽りなのではないか?

という想いに苛まれています。

連絡の返ってこない楊明を心配して会いに行った鯨井だが、楊明は鯨井の知ってる姿じゃないから会えないと言います。

いつもはウェーブのかかった明るい髪の楊明ですが、部屋にいる楊明は黒髪のロングで自身のなさそうだ姿をしています。

明るく自分に自信があって堂々としているハッキリ自分の考えを言える女の子のイメージした姿。
しかし本当の陽明は、自分に自信が無くて母親の顔色を伺って好きなものさえ好きって言えない人間でした。。

クローンの九龍城砦では、思い描いたり自分のイメージした姿を等身大に映し出せる空間で、陽明はいつも明るく魅力的な姿を想像していたんでしょうね。

鯨井が魅力的と呼んだ姿は全部ウソの姿だという様命に対して鯨井は「勘違いをしていた」と答えています。

鯨井が見ていた陽明は明るい陽明でなく、明るくあろうとした楊明だったという事です。
ずるいですね、自分の内面なんて親でも恋人でも容易に現れるものではないですからね。

求めれば求めるほどに奪われていくのは、求めても求めても理想とする事柄にありつけないからだという事だと思います。

「全て遠き理想郷」という所ですね。

感想

鯨井Bとのデートシーンや突如出てきたダイヤの婚約指輪、そして蛇沼とグエンの恋模様。

これらを見せられたうえで工藤がクラブで、玉置浩二の”田園”を歌うのは卑怯ですね。

「九龍ジェネリックロマンス」は、SF要素が多くていつも考えながら読んでいます。

ただ恋愛要素も興味深くて、工藤が好きなのは今目の前にいる表情豊かな鯨井なのか?それとも姉御気質の鯨井Bの方なのか?
そして、蛇沼とグエン関係はどうなるのか?

そんなラブロマンスを見せられているのに、その物語の最中に「田園」の歌詞を見せられると工藤の悲しそうな顔に胸が締め付けられてしまいますね。

ちょっと難しい所が多いですが、何とか整理しながら読んでいって、感想書いていければと思っています!

「みんなここにいる 愛はどこへも行かない」

絶対に玉置浩二は歌わないです、あんなこっぱずかしい歌詞を歌うにはあまりにも歌唱力が足りなすぎます笑
まあ「田園」と「メロディ」はカセットテープが擦り切れるほどにリピートしましたけどねぇ笑

では、最後までお読みいただきありがとうございました。したっけね!

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九龍ジェネリックロマンス 5

九龍ジェネリックロマンス 5

[著者]眉月じゅん

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