小説版「鬼人幻燈抄 葛野編 水泡の日々」1巻感想~まさしく水泡のように淡く切ないお話

小説

こんにちは、歴史と漫画好き。
いのまんです。

今回は、小説版「鬼人幻燈抄 葛野編 水泡の日々」を読んだ感想を書いていきます。

漫画版の「鬼人幻燈抄」を読んで続きが気になったので小説版を読み始めましたが、やっぱり面白いですね!

誰への想いで生きるではなく、一個人として生きる生き方を選んだ二人の悲劇と、妹が向ける兄への想いが切なくも禍々しい。

読み始めて2時間半ほどで読了できたので、さっと読みたい方にお勧めします!

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「鬼人幻燈抄 葛野編 水泡の日々」~作品詳細

作者:中西モトオ

出版社:双葉社

ジャンル:和風ファンタジー

発行巻数:既刊7巻(2021年10月現在)

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「鬼人幻燈抄 葛野編 水泡の日々」~あらすじ

江戸時代、山間の集落葛野には「いつきひめ」と呼ばれる巫女がいた。

よそ者ながら巫女の護衛役を務める青年・甚太は、討伐に赴いた森で、遥か未来を語る不思議な鬼に出会う――江戸から平成へ。

刀を振るう意味を問い続けながら途方もない時間を旅する鬼人を描いた、和風ファンタジー巨編の第一巻。

「鬼人幻燈抄 葛野編 水泡の日々」~感想

白夜と白雪どっちが大事?

幼馴染で兄弟のように育った甚太と白雪。
子どもから大人になるという事は、互いの関係性を全く違う物へと変化させていました。

白雪は母親が亡くなった代わりに”いつきひめ”という巫女になります。
一族の人しか継げない”いつきひめ”という存在で、女性しか継げないにも関わらず一人っ子。

女の子が生まれなかったらどうなるんだろう?と思いますが狭い集落の中でも血は尊いという事でしょうか?
しかも、よその者とは結婚できないとされています。

しかし両親は亡くなり、白雪は”いつきひめ”に甚太は”巫女守”となる事で、お互いに一個人として人間ではなく村にとって公的な人物へと関係性は変化してしまいました。

本来、お互いに好きあっている関係性なのだが立場が二人を共にいさせてあげる事はしないという事なんです。

身分違いから想いが結ばれないというのはよくある話なんで珍しくは無いのですが、物語の全体が陰鬱とした雰囲気なのは甚太と白雪が結ばれないという事だけが物語の序盤から薄々わかってしまった事が原因ですよねぇ。

甚太は村の外から来た人間なのです。
村の血を引いていない者はいつきひめと結ばれない。

昔の古い慣習って、基本外部の人間拒みますからね。

なので、葛野集落の人々が甚太たち兄弟を疎ましく思わない理由がいまいちわからない。
白雪の父・元治にそれだけの権力があったという事なのでしょうかね?

妹と訳あって家出したところを、白雪の父・元治に拾われて兄弟同然に育ってきた甚太と白雪。
子どもの頃から惹かれあっていても結局は結ばれない運命の二人だったんですね。

白雪は、白夜として村長の息子・清正と結婚します。

相手への想いで生きるではなく、一個人として生きる生き方を選んでしまった事がまさか悲劇を生むなんて思わなかったです。

けど本当に外部の者と結婚できないのか?
そんな考えでは、”いつきひめ”という制度を守れないではという疑念はやっぱり当たりましたね。

1巻最後に出ますが、村長は”清正は白夜を好いている”とわかった事で我が子可愛さに結婚させようとしています。

当人たちの想いは無視して・・・

白雪という一人の女の子は幼馴染の甚太と結婚したかった!
けど白夜という巫女としては、集落の為に巫女としての役割(跡継ぎ)を授からなければならなかった!

しかも清正自身も白夜が好きでも結婚する気はなかった、白夜が甚太の事を好きだという事を知っていたから・・・切ねぇ

大人がルールを無視して、子供が責任を取るという最悪のパターン!

1巻の暗い雰囲気の元凶がこうゆう汚い大人の浅はかな考え方と言う所でしょうね!

妹は鬼で、兄が好き

甚太の妹・鈴音。

右目を中心に包帯で顔を隠しているのは、右目が鬼のように赤いから。
そして容姿は5~6歳で成長が止まっています。

実父から家を追い出されたのは右目が赤い事が理由で、そんな妹を同情して甚太も家出して白雪の父・元治拾われて葛野集落で生活をしています。

父から助けてくれた兄、必死の思いで付いてきてくれた兄。

見た目が成長しない事を村の人たちは知っているけど、わざわざ外に出て晒される必要は無い。
だから家の中で大半の時間を過ごすことになっています。

世間から隔離されてますよねえ。
人との出会いによって成長する精神が全く成長していなくて、外面だけでなく話し方も見た目相応の知能レベルのように書かれてます。

しかし、それは鈴音の意図的に。
見た目・雰囲気を幼くすることによっていつまでも守らなくてはいけない”甚太にとっての大事な妹”を演出しています。

実際、鈴音の精神は年相応15~16歳くらいに成長していました。ただ精神面だけ。
本来、精神面と一緒に成長しなくてはいけない道徳心のようなものは全く成長していません。

鈴音は兄・甚太が大好きだったんです。男性として。

けど、この想いは告げても実らないし、甚太が本当に好きな人は白雪だという事は分かっている。
一緒に住んでいた白雪なら諦められる・・・

兄が好きな人だから仕方がない・・・諦めたのにという想い全開ですね。

それなのに、自分が密かに心の中で決着着けていた事を、白雪が裏切ったように見えました。
兄・甚太の前ではなく、清正の前で服を脱いでいるという事

白雪は”いつきひめ”として集落を守るための跡継ぎを産むという役割を知らなかったんです。

鈴音の中で白雪は”誰とでも寝るあばずれで、兄を傷つける最低の女”に変換されてしまった。

今まで我慢してきたのに、小さい体で兄を待ち、妹であり続けたのに。
言いたいのに言えなかった、我慢してきたのに報われなかった。

切ないですよね。
世界の中心は自分と兄で、他には何もいらないという気持ちだけが成長してしまった末の鬼化+凶行ですからね。

切ないです。

最後に

「鬼人幻燈抄 葛野編 水泡の日々」はこの作品の大きなプロローグでしたね。

1000年の時を生きる鬼となってしまった甚太が、これから江戸・明治・昭和の時代を生きると思いますが、何を得ていくのかに要注目となりそうです!

戦闘シーンは結構派手なのでコミカライズ+アニメ化はぴったりだと思いますね!

ではでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
したっけね!

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