羅川真理茂「朝がまたくるから」感想~罪人はいつまでも罪人なのか?読み手の問われる倫理観

漫画 

こんにちわ、歴史と漫画好き。
いのまんです。

今回は、羅川真理茂先生作「朝がまた来るから」感想を書いていきます!

「赤ちゃんと僕」「ましろのおと」を書かれている羅川真理茂先生の短編集です。

2005年~2010年頃に書かれた読み切り3篇を集めており、3篇共に”贖罪”をテーマにして描かれています。

最近「レ・ミゼラブル」を見ていたので、いま一度読むと以前と違った印象を受けてまた違う発見を覚える作品でした。

羅川先生が描く贖罪が胸に染み入ります。

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「朝がまたくるから」~作品詳細

作者:羅川真理茂

出版社:白泉社

ジャンル:

発行巻数:全1巻

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「朝がまたくるから」~あらすじ

「罪」をテーマに描くどこまでも切なく、たまらなく優しい、短編集3編。

「葦の穂綿」

春から地元に戻り、和菓子屋で働き始めた新田鈴は、自転車のパンクを直してくれた男性・孝に惹かれ始めてしまう。

だが彼にはある過去があり、決して積極的に人と関係を持とうとはしなかった。

鈴は報われぬ恋をしたのか、彼の心を動かすことはできないのか。

「半夏生」

プロのカメラマンを目指すリオ。

ある日、仕事で撮影に訪れたファッションショーで見かけた、美しい横顔と美しいプロポーションを持つ人が同じマンションの男子高校生・珪碁だと気付いてしまう。

他人にゴスロリ女装趣味を知られたくないが、綺麗に撮ってほしい珪碁と、自分が何を撮りたいのかいまいち定まらないリオ。

2人の交渉は成立し、リオは珪碁の写真を撮り始める。

「冬霞」

親に虐待を受け、育児放棄をされる幼い双子の兄妹、リキとチカ。

薄暗く汚い家で、親が帰ってくるのを怯えながら待つ生活、悪魔でもいいから、誰かここから連れ去ってください、そう願っていた2人の元に来たのは見知らぬ男・恭一。

闇から出ることを選んだ2人は、何者かに追われているという恭一との逃亡生活を始める。

「朝がまたくるから」~感想

※ネタバレ込となっていますのでご了承ください。

「葦の穂綿」は人を殺めてしまった罪
「半夏生」は未成年との快楽行為
「冬霞」は幼児誘拐

3篇とも罪を犯した、犯している人たちを題材にしています。

作中で罪を犯した者たちは、反省・後悔しており自分の罪を美化しているわけではありません。

3篇ともに感動的に締めくくられていて、自分が20代半ばの頃に3作目の「朝がまた来るから」を読んだ時にはぼろぼろと涙をこぼしたものです。

「葦の穂綿」は10代の頃にイジメてきた相手に対して突発的に医師のブロックで殴りつけて〇してしまいます。

少年院を出て普通の暮らしをしようとしますが、どこから漏れたのかわからないが罪を犯したことが原因で最後にはその土地から離れる事となります。

「朝がまたくるから」は〇人を犯して自〇するはずがネグレグドに遭っていた子供がいたのを見つけて誘拐します。

”事務所”から薬と銃を持ち出して逃げていますが、自分が幼少の頃と同じ境遇の子供たちを見捨てることが出来ずに親元から助け出して一緒に逃亡の旅に出ます。

この2作品に関して、主人公となる宇佐美孝要や恭一には擁護できる部分もあると言えばあるんです。

なので10年前に読んだときには、〇めてしまったが生きぬくと言った事、ただ子供たちを助けだした事、成長してリオを迎えに行ったこと。

罪の部分を理解せずに、感動する場面だけに感動していました。

けど、今読むと改めて考えさせられますね。

いくら贖罪と行ったとしても過去・現在に犯した罪が償われるわけではないんですよね。
しかも一つ罪を犯せば普通の人の何倍もの罪になってしまいます。

当時宇佐美考要にはとても同情した覚えがあります。
「みんなもっと彼の事を許してあげなよ」と。

ただね。
これがもし現実的に自分の近所に住んでいた場合、どう考えてしまうか。
その相手は全く知らない人間です。

きっと拒絶してしまいます。

「一度罪を犯した人間は何度でも罪を犯す」

レ・ミゼラブルのジャベール警部が言っていた事で、ここまで極端には考えませんが近しい事は考えてしまいます。

罪を犯した人間が善行を行ってその結果感動しました。
ヤンキーが猫を助けて偉い。

なんて作品は本来好きではありません。

罪を犯した人間が不幸になれとも思いません。
その変わり考要のように犯した罪から目をそらさずに生きていて欲しいと願っています。

最後に

羅川真理茂先生の作品はホームドラマからスポーツや音楽もの、ファンタジーと多彩なジャンルを書ける作家さんです。

そして読み手を引き付ける要因として、リアリティのある人間ドラマなんですよね。

勧善懲悪がもてはやされる時代で、過剰な正義感が善悪の曖昧なボーダーを簡単に蹴破るように見られます。

本作は罪人がメインの話ではありましたが、一方の正義はもう片方の悪である場合もあります。

そこを見極められる目を養っていきたいものです。

ではでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
したっけね!

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